朝焼けを見た。
それはとても美しく、冷やりとした風が顔をなでた。
目に映る色と風の色が混じりあう頃、見惚れる私に気づく。
なんと美しいのだろう。
そしてそれはどこまでも心地良い。
視界の総てを彩る薄水色と藍色、灰色、
そして雲のふちを彩る鮮やかな桃色。
混沌とした中に一遍の線が走る。
一秒たりとも同じものはない。
太陽が昇る前の彩り。
私はこの僅かなひと時がとても好き。
少し前の時間もいい。
夜明け前。
朝が訪れる前のひと時、何よりも深い藍色が訪れる。
藍が全てを吸い込んでいく。
汚れたものも、くすんだ感情も、ただひたすらに。
あの藍色はとても穏やかで、とても潔い。
月と空の紡ぐ夜のはざま。
静かな夜が好き。
深い空が好き。
それが明ける一瞬も好き。
朝が群青を持ち上げるあの時も。
美しいものとは、なんと心休まるものか。
今日もそうやって、私は安らかな呼吸を覚え眠りに付く。
密やかなる夜に見た月の光と朝焼けを胸に。
こうして日々感じれる身近な美しさがあることを幸せに思いながら。